[ 倫理的経済的 ]
 
坂本龍一からちばてつやまで。本当にクリエイティブなアーティストが自分の
権利を問うときに行き着く人がいる。柳原敏夫
多才な彼がまず、アーティストが独立するときに必要な知識を紐解く。
事業を始めるのには資金が必要だ。それをどうするか。

 EquityとDebtそして株式の本質

柳原敏夫

小人数私募債


  株式会社が直接金融の方法で資金調達する柱が、株式と社債です。
  社債は、Debtと言われるもので、いつか返済しなければならないお金のことです。しかし、その金利を銀行の預金金利より高く、かつ銀行の借入金利より低く設定すれば、貸す一般投資家にしてみれば、銀行に預けるよりは有利であり、借りる会社にしても銀行から借り入れるよりは金利が安く済むので、両方がハッピーということになります。

  しかし、このうまみを利用するためには、今まで、社債の発行に関する面倒くさい規制(それは一般投資家保護のために設けられたもの)があって、中小企業には敷居が高かった。その結果、このうまみを利用できるのは大企業に限られていた。

  ところが、一定の条件さえ満たしていれば、従来の面倒くさい社債発行の手続を経なくても、簡単に社債を発行できるやり方があり、これが小人数私募債と言われるものです。中小企業も、今まで大企業だけが享受できた社債のうまみを、この小人数私募債を活用して多いに享受すべきでしょう。
 ここで一定の条件というのは、ざっと次の3つだけです。
1、株式会社であること。
2、出資者は49名まで。
3、出資者に金融のプロがいないこと。

あとは、取締役会の承認さえあれば、償還期間(返済するまでの期間)、利息、発行金額など自由に決められます。届出も不要です。
また、6ヶ月経過さえすれば、再び、小人数私募債が可能です。

もともと、私人間の法律行為というのは、とくに法律の規制がない限り、本来、自由にやって構わないのです(私的自治の原則という近代私法の大原則)。そして、社債という会社の借入行為も、一般大衆投資家の保護のためにもうけられた様々な規制に該当しない限りは、本来、自由にやって構わないものなのです。この原理の応用例が今回の小人数私募債というやつです。つまり、一般大衆投資家の保護のための様々な法律の規制に該当しないで、自由にできる社債のやり方という訳です。

とはいっても、この小人数私募債の技術を使えば、万事メデタシかというと、そんなものではありません。単に、法律の面倒くさい規制なしに、自由に借入ができるというだけのことであって、ここから、出資者に対する信用という本来の経済的な課題に直面するのです。

なお、小人数私募債の具体的なやり方については、松村昭子「小人数私募債で資金調達する法」(明日香出版社)などを参照されたい。


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