Equity=自己資本のこと。Debt=他人資本のこと。 言い換えると、
自己資本は、「返済不要」の資金調達方法。他人資本は、いつか返済要の資金調達方法。
その典型例が、Equityなら株式。Debtならローン、社債。
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普通に考えれば、他人から資金を調達するのであれば、それはいつか返済すると考えるのがごく常識である。
しかし、それでは、資金調達する側(=資本)にとって、経営に必要な長期固定資本を調達することは不可能。
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そこで、この課題をクリアするために、殆ど詐欺(マジック)のような幻想的な制度を編み出した。それが永遠に返済不要の資金=Equity(その代表が株式)である。
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その意味で、株式の発明とは、資本増殖を至上命題とする資本主義にとって最高の発明のひとつ。
そのことを、商法の或る学者は、こう言っている−−「資本集中の最高度の形態としての株式会社」(注1)
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では、いかなるマジック(ロジック)を使って、この魔法を編み出したのか。それは、「資金提供者を、会社の(共同)経営者のひとりにしてしまう」というロジックによって、他人資本を自己資本に転化してしまったのである。
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但し、ことはこれだけでは済まなかった(単に資本集中という目的にとって必要条件にすぎない)。
(1)、このマジックが広く一般大衆に受け入れられ、かつ
(2)、このマジックが、元々の経営者(=機能資本家)の会社実権を損うことのないようにするために、
さらにこの制度をシェイクアップする必要があった(つまり、資本集中という目的にとって十分条件を満たすことが必要であった)。
それが以下のシェイクアップ。
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| (1) |
このマジックが広く一般大衆に受け入れられるためには、次の問題を解決する必要があった。 |
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(a) |
投下資本の回収の保障 |
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「返済不要の資金」というのは、出資者からすれば、投下資本の回収の道がないことを意味する。これでは誰も投資しないのは明らかである。そこで、返済に代えて、新たな「投下資本の回収の道」を用意しなくてはならない。そこで編み出されたのが、 株式の自由譲渡性の原則である。つまり、これまでの原則(共同事業の共有者の地位の移転は、他の共有者全員の同意なしにはできない【注2】)を否定し、株式(=株主の地位)は自由に移転できるように逆転し(注3)、これでもって一般大衆に投下資本の回収の道を開いた。 |
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(b) |
無限責任のリスクから解放 |
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通常、事業の共同経営者になるというのは、その事業体と運命を共にすることであって、その事業の負債についても、共同経営者は全個人資産をもって責任を負う(無限責任)というのが原則であった(民法上の組合。合名会社。合資会社【注4】)。しかし、それでは、一般大衆にとってリスクが大きすぎ、おいそれとは会社に出資するわけには行かないことになる。そこで、こうしたリスクを軽減することが不可欠となり、そこで編み出されたのが、 株主有限責任の原則である。つまり、これまでの事業体の共同経営者の無限責任という大原則を否定し、株式会社では株主は出資額の限度しか責任を負わなくていいとする有限責任に逆転し(注5)、これでもって一般大衆のリスクを軽減し、もって彼らによる出資の機会を増大させた。 |
| (2) |
このマジックが、元々の経営者(=機能資本家)の会社実権を損うことのないようにするために、新たな解決策が必要とあった。 |
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(a) |
返済の要らない資金が集まるということは、反面、共同経営者がそれだけ増大するということで、その場合、従来のあり方で行くと、共同事業体の運営は、当然のことながら、共同経営者の頭数による多数決原理によって決せられ(民法上の組合。合名会社。合資会社【注6】)、そのため、元々の経営者は、経営の実権を一般大衆という共同経営者によって脅かされる恐れが生じる。これは断固として阻止する必要があった。そこで、この問題(元々の経営者の地位安泰の確保)を解決するために、編み出されたのが、 資本多数決の原理である。つまり、伝統的な頭数による多数決原理(1人1票)を否定し、資本の数に応じた多数決原理(1株1票)に逆転し(注7)、これでもって一般大衆が元々の経営者の実権を脅かすような事態を阻止した。 |
注1 或る学者
河本一郎「現代会社法 新訂第8版」(商事法務研究会)3頁
注2 共同所有者の地位の移転の条件
共同事業のひとつである民法上の組合について、 私法の一般法である民法には規定がないが、学説(我妻栄)は、
他の組合員全員の同意があれば組合員の地位を移転することができる
と解する(民法講義債権各論中巻2・841頁)。
なお、会社については、合名会社では、社員の地位の移転には、他の社員全員の承諾を要する(商法73条)。
また、合資会社では、無限責任社員の地位の移転は、合名会社と同じく、他の社員全員の承諾を要する(商法73条・147条)が、有限責任社員の移転の場合には、無限責任社員全員の承諾があればよいとされる(商法154条)。
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こうした条件を、株式会社についてはすべて撤廃し、買主さえ見つかれば自由に移転できるものとした。
注3 自由譲渡性
商法204条1項本文
株式ハ之ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得
注4 無限責任
民法上の組合について、民法675条
組合ノ債権者ハ其債権発生ノ当時組合員ノ損失分担ノ割合ヲ知ラサリシトキハ各組合員ニ対シ均一部分ニ付キ其権利ヲ行フコトヲ得
合名会社については、商法80条1項
会社財産ヲ以テ会社ノ債務ヲ完済スルコト能ハザルトキハ各社員連帯シテ其ノ弁済ノ責ニ任ズ
合資会社の無限責任社員は、合名会社と同様(商法80条1項・147条・157条)。
注5 有限責任
商法200条1項
株主ノ責任ハ其ノ有スル株式ノ引受価額ヲ限度トス
注6 1人1票の原則
民法上の組合について、民法670条1項
組合ノ業務執行ハ組合員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
合名会社については、商法68条1項→上記民法670条1項
会社ノ内部ノ関係ニ付テハ定款又ハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ組合ニ関スル民法ノ規定ヲ準用ス
合資会社の無限責任社員は、合名会社と同様(商法147条)。
注7 1株1票の原則
商法241条1項本文
各株主ハ一株ニ付一個ノ議決権ヲ有ス