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[ 倫理的経済的 ]
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倒産もリストラも怖くない |
メール対談■ |
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勤め人、雇われ人のつらさは、働いている人はみな知っています。上司やボスに反対したら、左遷の憂き目にあった。真っ先にリストラされた。どうしても社会の利益に反するとしか思えないのに、会社の利益のためだ、と強引に違法行為をやらされた。会社共同体の圧力は怖いものがあります。 しかし、また逆にトップ(社長)はこれはこれで大変です。責任重大ですし、また、たった一人のトップだから本当に心を割って相談する人がいなく、「ああ、社長は孤独だ」と嘆く人も多いものです。 では、みんなトップに、みんなオーナーになってしまったらどうでしょうか。それぞれが自分の範疇を持っていて、利益もフェアに分配できる。みんなトップなのだから、ほかの人とも平等に相談しあえる。 それが「協同組合」という方式なのです。 しかし、古典的な協同組合は、いろいろと形態が難しく法律で決められていて、硬直的だったりします。実際のところ法人の形態などは何でもいいのです。そういうような例を挙げてみたいと思います。 まず、株式会社の形態をとりながら、従業員が出資して株式を買い取っている「協同組合類似」株式会社の例。それから、経済批評家の奥村宏さんが紹介する、従業員による既にある勤め先の会社の資産を買い取る例です。最初のは、トランス・コミック・エクスプレスの松村さんが調べてくれたものを元に、私、浅輪が書いてみようと思います。後のは、同じく松本さんに、それから、トラコミの友達で、以前にも投稿してもらった片田さんにも一部コメントをいただきましたので、それも合わせて載せてみたいと思います。 ****************** 再び浅輪です。 リストラにあった社員が自ら会社を立ち上げた例を紹介します。最近マスコミなどによく取り上げられ、注目されている例なんですが。。。 21(トゥーワン)という広島を中心とする全国チェーンのめがね屋です。 経営方針
というわけで、「協同組合類似」株式会社、といえると思います。そういう言葉があるのかどうか知りませんが。。。 上に挙げたホームページ、とてもよくできているので、そこからいくつか引用しながらまとめてみたいと思います。 ******************まず、とりあえず、われわれの現在の関心事「リストラは怖くない」からいいますと、やっぱり怖いんです(笑)。別のめがね会社に勤めていた皆さんは、こんな風にリストラされたそうです。そこの会社の創業者が死去したあと、その娘(後を継いで社長に就任)が、生前に彼女に反旗をひるがえした、という人々を目の敵にしたのです。相続された大株主の権利を使ったんですね。で、労働組合を組織したりした人たちが、リストラされたり閑職に追い込まれたり、仲間はずれ、いじめにあったりしていました。「くさいやつとは飯をくえない」とまで言われたそうです。怖いですねえ。。。これから就職を考えている皆さん、覚悟してください。(笑) でもやっぱり「リストラは怖くないんです!」なぜって、トゥーワンの皆さんは、そのリストラの経験を生かし、もといた企業を反面教師にして、新たな企業形態を作り出したからです。 たとえば、企業に残される内部留保の資金をめぐった争いが起こらないように、それを従業員に分配する。あんまり多い場合は、消費者に還元するためにその分を値下げする。 大株主が発生して暴威を振るわないように、従業員に広く出資者を募り、分割して保有する。市場公開はしない。 そんな従業員保有会社の経営を安定させるために、余計と考えられる業務をとことん減らした。たとえば、人事評価、これを無くし、みんなでフェアと納得するような賞与決定にした。また、新たな店舗展開にかかる費用を減らすために、店を保有している人が新たに出資して経営していくフランチャイズ方式を採用しました。これは、トゥーワン内部の情報をフランチャイズ加盟店にどんどん公開していく運動ですね。 うーん、そういう話はいいから、トゥーワンが実際にうまく言ってるかどうか、聞きたいですって?トゥーワンのグループ売上は、設立4年目の1990年には約8億円でしたが、2003年には、その10倍の80億円にまで成長したそうです。とはいえ、さらに驚くことには、内部留保をなくしているために、経常利益は、ずっとゼロ、あるいは赤字、だそうです。会社自体の資産もわずか9億円あまり。これでは、会社をのっとろうにも、いったいどれだけの価値があるのかも分かりません。もちろん、価値は、そこに集まった人たちの技術と経験ですけどね!(なんてかっこいいこと言ってますが、実際の利益は従業員に分配されているわけですから、「お金」という価値も従業員の元にあるわけです。) そういえば、さっき「トゥーワン内部の情報をフランチャイズ加盟店にどんどん公開していく運動ですね」と、ちょっと不思議なことを言ってしまいました。実は、会社内部では、イントラネットを通して、いろんな技術的な情報、会計上の記録のみでなく、なんと社員の給与額まで公開されてしまっているのです! ちょっとそれはあまりにも。。。と思うのですが、実は情報は隠そうとすれば、それだけ余計なコストがかかるだけだったりします。情報を制限的に伝える中間管理職を作ったり。しかも権力闘争を生んだり、悪いことをしよう、という考えが生まれてくる。内部告発を恐れたりね!内部告発より、最初から、全部公開しちゃってます、ということです。別に社内だけでなく、社外にもチラシやホームページを通して、可能な限りの情報を流しています。実は、そのおかげで、筆者もこういうことを知ることができて、この文を書けるわけですが。。。ありがとうございます。 その公開されているイントラネットを使ってまた、「恐ろしい人事部」抜きの評価決定も行われます。まず、代表者が適当と思われる賞与額を絶対評価で決めます。もちろん、絶対といっても大体のところしか決められないのですが、これをイントラネットに示します。みんなはそれを見て、うーん、これぐらいだと適当だな、とか言ったり、もう少し増やして、とか、もう少し減らして(驚くなかれ、そういう人は多いそうです)と意見をネット上に示します。これも大体しか決められないのですが、大体でも、人事部員を雇う費用が浮いているせいで、かえって分配される量は多くなります。それで、みんなもこの方法に納得、だそうです。 そうやって分配される賞与をあわせると、最高給与で1300万円ほどいくそうです。ある意味高給取りですが、そこから、一人平均して3000万円ほどを会社に戻しているそうです。つまり、出資してるわけです。さらに売り上げの残りはとことん値下げにまわすことによって、消費者に還元しています。さらに、会社自体には、利潤が計上されないので、社会福祉、ということはできない。だから、従業員一人一人が自分に分配されたものを基にして、「自由に」しかし自分の責任で、福祉活動などを行うことを奨励してるそうです。 もっといろいろ触れたいところもあるのですが、これ以上の詳しい内容はぜひ、トゥーワンのホームページを参考にされてください。膨大な情報が載っています。また、松村さんが忙しい中、まとめてくださった資料も下に添付しました。 松本治です。 浅輪さんに続いて、危機を逆転にした、しかも単に成功するのではなく、新しい協同組合の形、既存の協同組合の形にとらわれない、そういうアイデアについて、非常に興味深い本をご紹介します。奥村宏の『倒産は怖くない』(岩波アクティブ新書)です。私はこの本がでるのを、出版される前から待望していました。 もともと奥村さんは、日本の「法人資本主義」に関する考察が光っていて、つまり、一人一人の個人ではなく、社会的な便宜のために作られただけに過ぎないはずの「法人」が支配している、ということですが、多国語に翻訳されていたりしています。そして、まさに「法人資本主義(株式会社)の批判」をライフワークにしてきたような方です。その彼が、批判のみならず、新たなオルタナティブの創出へ向かおうとしています。奥村さんは既に御高齢のようですが(笑)、とってもクリエイティブな提言をなさっている。 それは、この本のテーマであり、エチコエコノミコ(倫理的な経済)の観点からも非常に示唆的なもので、「倒産を通じて株式会社を生産協同組合に転換してしまう」というものです。転換のための「技術」が語られています。私は「その手があったか!」と驚嘆しました。以下、その「技術」について説明します。 *** いきなり結論から言うと、倒産しそうな企業や倒産した企業の経営者や従業員が自社株を買い占めることで、自主管理型の企業(協同組合的な企業)へ転換していくというものです。まずは、M&A(企業の合併・買収)の話からしてみます。 M&Aの手法としては、LBO(レバレッジド・バイ・アウト)が知られてます。レバレッジとは「てこ」のことです。つまり、わずかの力でたくさんの力をなす。バイ・アウトとは「買取」です。どういうことかというと、ほんの少しの「金」でたくさん買い取ってしまう、という魔法のような(悪魔のような?)手段です。一応この本から説明を引用してみます。まず、LBOとは、 「個人あるいはグループで、まず小さな会社を作り、それが社債を発行して資金を調達し、それで相手の会社の株式を買い占めるというものである。そして会社を乗っ取ったあと合併して、その会社があげる利益で社債を返していく、あるいはその会社をバラバラにして資産を売り飛ばし、そのカネで返済するというやり方をする。」(P91) つまり、自分では少しの金しかない(小さい会社)ですが、それが借金をして(社債を発行)その金で会社を買い取ってしまう。買い取った会社の上げる利益で、その借金を返していく、ということですね。資本制ならではというか、読んでるだけでムカムカしてくる手法ですね(笑)。そして、この手法を使って経営者が自分の企業の買収をするのがMBO(マネジメント・バイ・アウト)です。 これらは一般的なM&Aの手法ですが、その後に奥村さんが紹介している「技術」は、EBO(エンプロイー・バイ・アウト)です。エンプロイーとは「従業員」です。当然、いわゆる企業経営の本などには載っていないものです。経営者がM&AをするのがMBOであるのに対し、従業員や労働組合が自社株を買収するのがEBOです。他に、MBOとEBOを組み合わせたMEBOという手法、つまり経営者と従業員が共同で買い取る、こういう手法も紹介されています。労働組合にはマネジメントのスキルがどうしても不足しているでしょうから、経営者と従業員が協力して自主管理型の組織へ転換していくというのが案外有望かもしれません。 ちなみに、MBOは日本でも事例がありますが、EBOは今のところほとんどないようです。本にもありますが、アメリカではクライスラーが70年代に倒産の危機にあったとき、従業員が自社株を取得した例などがあるようです。このときは25%の株を取得して、完全に経営権を握ったわけではありませんが、労働組合(従業員)が経営参加した事例として興味深いです。 ともかく、倒産の憂き目にあっている従業員が、様々な消費協同組合、フェアトレードや市民通貨の市場などと提携して再建を目指しつつ、企業組織そのものの転換をはかっていくのは有力な「技術」だと思われます。奥村さんが提言されているEBOやMEBOをもちいれば、「倒産」は重要なメルクマール(株式会社から自主管理型の協同組合組織へ)になりえます。 MEBOによって自主管理型の企業組織として再建できるのではないか、というのが奥村さんの提言です。しかし、それだけではMEBOを成功させて、経営者と従業員が協力して再建している間も、他の資本制企業との苛烈な競争下に置かれているので、協同組合的な組織への転換は難しいでしょう。事実、クライスラー社の場合、のちに従業員株は会社に引き取られて、会社自体もダイムラーベンツに合併されているわけですから。 私の考えでは、やはり何よりも消費者のネットワークを広げること、その集中的な購買力による「支援」を有効に組織していく必要を感じます。倫理−経済的な企業を目指すがゆえに消費者が支援をする(実は、たんに買うだけに限らない)、というビジョンが可能ではないかと。むろん、自主管理型企業には、よりよい製品・サービスを提供するというあたりまえの企業努力が必須ですけれども。 何はともあれ、この『倒産はこわくない』を一読してみてください。この「技術」について、既に法律的な事柄やM&A一般についてお詳しい方、ぜひ議論を深めて頂ければと思います。 追伸 倒産の憂き目にあっている従業員が、たとえ優秀すぎるほど優秀とまではいかないにせよ、彼らが担当する専門業務の「プロ」であろうことは間違いないでしょう。むしろ倒産は、経済のマクロ環境の急激な変化や、全社的な経営戦略、判断ミスによって敗北したに過ぎません。だから、倒産を通じて、真の意味で「優良企業」へ転換するというビジョンは、否定しようもないと思うのですね。 片田直樹と申します。 ■倒産からの生産協同組合の実現 ところで、僕がカメラのニシダを知ったのは、下記の冊子を読んでからでした。 労働者の権利と倒産研究会編『倒産なんかに負けないぞ』 私事ですが、現在、法学部の学生なのは、たった50ページばかりのこの冊子を読んだ影響が大きかったと、今振り返ればそういえるような気がします。すなわち、 倒産察知⇒組合結成⇒職場占拠(労働債権確保)⇒自主生産 にいたる過程について現行法の生かし方が書かれているのです。とはいえ、一方で絶望がありました。資本主義が厳然として存在している中で、自主管理企業は存続できるのかと。言い換えれば、(奥村さんの文章を読んですこしは考え直しましたが)、規模の経済(資本の大きさの優位性)がある中で、すべての生産部門においてこのような手法が使えるのかと。また、国家による法整備いかんによっては、それは国家によっても妨害されるだろうとも。それらの厳しさは、労働組合の活動家からも聞かされたこともあります。したがって、そのような課題に取りくむことを否定的に考えるようになっていました。 しかし、それは協同組合、あるいは、生産者、販売者側からの視点のみで考えていたからですね。消費者、それから、地域市民、信用組合などを巻き込んで、それぞれの地域再建の技、と考えて行えばもっと可能性が出てくるような気がします。 松本治です。 片田さん、返信ありがとう。 そうですね。奥村さんは、『倒産はこわくない』以前から、NPOや協同組合を示唆していたので、新作が出るのを期待していました。 この本の中で奥村さんが提言されていることは、生産点のみならず、消費−生産点における運動、と考えると、かなり現実味を帯びます。自主管理型の企業といっても、消費者の組織化を軸に新たな消費−生産の回路を形成しないと、存続すら難しいのだと思われます。 片田さんが挙げられていたカメラのニシダを再建させるのに奔走した中心人物の一人に、嘉山将夫という人がいます。この方は、全国一般埼京ユニオンというところの委員長のようです。あるルポのなかにあった嘉山さんの言葉で、印象に残ったものを引用しておきます。(友達からコピーが回ってきただけで雑誌名が不明なので、「藤吉雅春」というルポライターによるものとだけ、書いておきます。あしからず。) 「『カメラのニシダ』以来、オルグのやり方が変わりましたよ。もともと労組は『反対!』って文句ばかりを言っていた。でも、職場の労使関係だけを愚痴っていても、世の中はよくならない。川野辺さん(カメラのニシダ社長:引用者)との出会いで、僕は経営について学ぶことが多かった。今では決算報告書を精査して、経営者に対して『あなたのこういう経営方針に問題がある』って指摘できるようになりました。柔軟にやれば、不必要なトラブルもなくなりますよ。」 最近、決算書関係の本がムックになったりして流行ってますが、これからの従業員は、マネジメントに口だせないとダメだと。まぁ、自主管理ということは「管理」ができないと自主的な事業運営をしてゆけないわけですから、あたりまえといえばそうでしょう。それに、鉢巻して腕つきあげて「反対!」なんていってるだけってのも、そうとう格好悪いしね(笑)。 ***************************** そういうわけで、「倒産もリストラも怖くない」。新たな形の市民型協同組合を作っていく方法が残されているからです。それをはじめる絶好の機会だ、と捉えたほうが人生やる気も出てきます。 また、会社に不採用になってしまったような学生さんたちも同じでしょう。自分たちの力でやっていくためのいろんなヒントを学ぶことができると思います。 松村さんによるまとめ 会社設立まで 創業メンバーのうち四人は、地元の別のメガネチェーンの幹部だった。この会社は広島県で60%のシェアーを握る眼鏡小売店で、また数百億円の内部留保を持つ財務優良会社だった。が、創業者(社員に49%の株を与えた)が死去したあと、従業員の処遇より内部留保を優先する後継トップと社員が対立。部長以上の社員・役員の9割が解雇されたり、退職に追い込まれたりした(のちに大勢が合流)。利益が多く出始めると、社内の風通しが悪くなって不公平な人事が横行する。何百億円もの資産を持つ企業でも理不尽なリストラをする。そんな嫌な思いを味わった四人は、86年に500万円ずつ出資して21を設立した。 1986年に設立され、本社は広島市。資本金5000万円。さらに1998年3月には、インターネット上のオンライン・ショップもスタートさせ、眼鏡やコンタクトレンズ、補聴器などの販売を行っている。創業から13年で西日本を中心に直営店・加盟店を合わせて100店舗を超えて、中堅クラスに成長した。 業績 トゥーワンのグループ売上は、設立4年目の1990年には約8億円だったが、2001年2月の決算期には、9倍以上の75億円にまで成長している。一方、同社の経営で最もユニークな点は、「会社に利益を残さない」ということだ。実際、経常利益はこの10年間ずっと1,000万円前後の赤字となっている。具体的には、毎年2月の決算期に、経常利益がほぼゼロになるように、ボーナスとして社員に分配・還元してしまう。21のバランスシートを見ると総資産はわずか9億円余り。年間売上高が75億円の会社としては異例の少なさ。単純にバランスシートを基にした資産価格や利益水準からでは買収価格も計算できない。社長は2期4年の輪番制で、給与も社員の最高額を上限としています。また、社長・専務・常務・部長といったポストはあくまで対外的なもので、社内では〜さんと呼ばれる。 資金繰り メガネは日々の売上に応じてメーカーに発注し商品の支払日は翌月末。売上金額は二カ月程度は店内に滞留するので運転資金も回る仕組みだ トゥーワンは35人の株主からの出資金と役員預り金を無利息で集め、従業員からは社内預金という形で資金を吸い上げる。とはいっても、強制的なものではなく、あくまでも本人の判断。実際に、社員の半数以上は、出資も社内預金もしていない。配当はゼロだが、社員以外の株主はいないから、一生懸命働けば利益の山分けにあずかれる。金利は現在2%で銀行の定期預金よりも有利だ。社内預金は約3億7千万円、出資金と役員預り金は共に5千万円もある。 情報共有 中間業務部門カットなどを可能にしているのは、社員や全国の店舗間をつなぎ、スムーズな情報共有や意思疎通を図ることのできるイントラネットの存在が大きい。さらに、イントラネット上では、各店舗の売り上げ状況やグループ全体の財務諸表などの経営情報はもちろん、経営会議の議事録や社長を含む全社員の給与明細までが、オープンにされている ロータスノーツ・ドミノを使い、全社員の給与明細をDB化→全社員に公開。 さらに、これまでのやり取りもすべてノーツ/ドミノでデータベース化。これにより、自由なキーワードによる検索で情報を引き出すことができるので、情報や知恵の蓄積〜共有が実現した。その意味では、グループ全体のナレッジ・マネジメントのツールともなっている。もちろん、メーカーなどの外部ともエキストラネットが構築されており、各店舗からの発注を本部がとりまとめて、仕入先に流している。また、ロータスノーツはサンプルDBをそのまま転用し、全社員が手を加え続けている。つまり、外に発注したらかかる巨額のシステム構築費用がゼロ。 また、意思決定は許認可制を廃し(根回し・会議・呑み会が多すぎる)、公開議事に対して否定・反論が無ければ賛同したとする黙認制(インターネットの進歩を利用)を採用した。 待遇 賞与の支給時期は決算期(2月)、夏季(7月)、冬季(12月)の年3回。これには退職金の前払い分も含まれている。ただし、毎年決まった額分割で支払われているわけではない。あくまでも、退職金込というだけである。昇給は30才まで。(99年度は30才で年間の給与収入が4百35万4千円)。検眼の技術などは社歴10年程度で熟練の域に達するからだ。30才の総収入は6百50万円、40才では9百万円程度。新規出店は、あくまで社員が生活の拠点として希望する地域のみ。なので、転勤無し、社宅は必要ない。有給休暇の買い上げ制度もある。本部スタッフは本社で採用している。 新卒は成績より個性を重視し、採用されればインターンシップと呼ばれる時給1030円のアルバイトからスタートする。社員の親族や、メガネ店の後継者を優先採用。 人事評価 評価する側の所得を少なくして、評価される側を優遇している。現在は社長の給料も前年の社員の最高額が翌年適用される。それまでは社員の収入が社長より多かった時代がある。社員の源泉徴収額が年々増えているのに法人所得の申告がほとんどないため、税務署の税務調査を受けたこともある。期末の賞与は仕事に対する本社の評価や出資金を反映した「経営職指数」に比例して支払う。年齢に関係なく、約130人いる従業員すべてに点数が付けられる。社長が100点で新入社員は1点だ。総人件費が社員に無駄なく行き渡るように、税制面で配偶者特別控除が受けられる所得水準に設定してある。インタラネットで公開された自分の評価に不満があれば店長などに異議申し立てできるが、2000年現在、異議申し立てした社員はいない。 経営権の委譲『MBOを軟着陸で行っている』。後輩社員が、定年退職する先輩社員から経営権(株)を買い取る。先輩社員にはそれが退職金代わりになる。会社に利益を残さないから、株式も額面売買。 フランチャイズ 個人商店では価格、品揃え、企画に限界があるが、同社とフランチャイズ契約をすれば仕入の3%のロイヤリティーで安く販売できるので、たとえ売場面積が小さくても他のチェーン店に対抗できるメリットがある。 また、店長は雇われ店長ではなく経営者なのでやる気が違う。出店する際は、一店舗につき二人いる共同経営者が会社に追加出資する。本部への支払金の先延ばしで資金援助(「暖簾分け」のシステム化)現在全国に125店舗のフランチャイズやボランタリー・チェーンを展開。眼鏡店は一人当たりの生産性が低いので、リストラが増えると予測した。そのリストラされた人たち、経営危機に陥った眼鏡店の後継者、独立心旺盛な社員などがどんどんフランチャイズに参加する。銀行・信用会社には独特のフランチャイズ展開に「リスクが大きすぎる」と言われるが、現在まで倒産はナシ。もし倒産しても、加盟店全店で損失を分散。取引先への支払いが遅れるようなら、フランチャイズ契約時の保証金を返還し、それで支払うように要請する。 税務署・監査 法人税のうち県民税と市民税はキャッシュフローの中から支払う。利益を出さないので、法人所得税はかからない。内部監査システムの構築、維持・管理や、民間企業に会計監査を依頼するには、巨額の費用がかかる。また、社内監査では身内に甘くなるし、社長が雇う監査法人は手心を加えるかもしれない。そこで、21では内部監査を「税務署の調査」に委ねている。「毎年調査してほしい」と税務署に要請したことも。同族会社と判断されないために、上位株主3人の占有率は50%を超えていない。 販売 通常のメガネチェーンの粗利は約70%といわれるが、トゥーワンはメガネ部門で40%台、関連事業まで含めると22%。もともと、メーカー希望小売価格の10%引きを店頭販売価格として表示。実際には、店頭価格から40%割り引いて販売する。もし、他店でトゥーワンよりも安い商品があれば、さらに値引く。ギリギリの販売価格に設定しているのは、仮に、トゥーワンの店舗周辺にライバル店が現れても価格競争力で勝てるようにするため。 「最後につぶれるメガネ店になろう」が合言葉だ。他社は同社との競合店だけ大幅に価格を低くしているが他の場所は高いまま。その価格差はかなりのもの。店舗の損益分岐点も低く、標準店舗の年商は約6千万円だが、4千万円まで落ち込んでもやっていける。販売目標(ノルマ)は、店舗単位・個人単位でもいっさい課していない。ノルマがあると、売上目標を優先させ、接客の質が落ちるため。 会社への興味深い質問(マスコミ・学生などから) Q:自社のシステムが全ての業種で通じるか(特に利益を残さない、内部留保しないという点)。又、大半の会社がそのシステムを採用した場合、どのような国家となるか。 A:全ての業種を知りませんから通じるかどうか判りません。間接金融より直接金融が世の流れであるように間接納税より直接納税の方が社員のモラルは向上すると思います。 Q:『内部留保がないと、業績悪化等の経営危機が訪れた時、即座に倒産しませんか?』 A:業績が下がれば、
の順で対策を実施。 取引先と値引き交渉の際、「社員の賞与が高すぎる」と指摘されても、社員一人あたり3000万円出資してリスクを請け負っていると説明すれば、納得する。内部留保が膨らめば、不動産投資や子会社での蓄財の誘惑にかられやすい。…ならば客と社員に還元。『社員に内部留保している』『ワークシェアリング・タイムスライスで仲間を守る』。」 |
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